複数のキャラクターを使った戦闘ゲームを作ろう
前回は敵と味方のキャラクターは1対1でしたが、今回は3対3の戦闘ゲームを作ります。
サンプルスクリプトは3対3の戦闘ですが、これが5対5になってもリストにキャラクターを追加するだけで、作りは変わらないようにプログラミングしています。
ゲームのルールは、以下のようになります。
ルール
- ユーザー側がプレイヤー、コンピューター側がモンスターとなる
- それぞれのキャラクターは3人ずつとする
- ユーザー側、コンピューター側のすべてのキャラクターが行動を選択してから戦闘を開始する
- コンピューター側の行動はランダムだが、キャラクターごとに行動の重みをつける
- キャラクターの素早さに乱数を掛けた値の順に行動する
- 攻撃する相手はランダムに決定する
- キャラクターの行動とパラメーターによってダメージ値を計算する
- 先にすべてのキャラクターのHPが0になった方が負けとなる
実行イメージ
実行イメージは、以下のようになります。
ユーザーはa(攻撃)、b(防御)、c(魔法)のどれかを入力します。
qを入力するとゲームは終了します。
実行例
> python game4.py
>>> 行動を選択してください
>>> a:攻撃 b:防御 c:魔法 q:終了
[プレイヤーA] >>> a
[プレイヤーB] >>> a
[プレイヤーC] >>> c
++ プレイヤーBは攻撃を実行! モンスターBは9のダメージ
++ モンスターBは魔法を実行! プレイヤーBは8のダメージ
++ モンスターCは魔法を実行! プレイヤーCは11のダメージ
++ プレイヤーCは魔法を実行! モンスターBは15のダメージ
++ プレイヤーAは攻撃を実行! モンスターCは6のダメージ
++ モンスターAは攻撃を実行! プレイヤーBは6のダメージ
-----------------
++ プレイヤーA:HP[30]
++ プレイヤーB:HP[11]
++ プレイヤーC:HP[9]
-----------------
:
:
[プレイヤーA] >>> a
++ プレイヤーAは攻撃を実行! モンスターAは8のダメージ
<< モンスターAを倒しました!!!!! >>
-----------------
++ プレイヤーA:HP[5]
-----------------
+++++++++++++++++
++ モンスターは全滅しました ++
+++++++++++++++++
Pythonスクリプト
ゲームのPythonスクリプトは、以下のようになります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 |
### インポート import sys import random ### 行動パターン act_dic = {"a":"攻撃", "b":"防御", "c":"魔法"} ### キャラクターパラメーター ### 名前,HP,攻撃力,防御力,魔力,素早さ play_lst = [["プレイヤーA", "-", 30, 9, 8, 1, 3], ["プレイヤーB", "-", 25, 7, 6, 4, 7], ["プレイヤーC", "-", 20, 5, 4, 8, 5]] mons_lst = [["モンスターA", "A", 32, 9, 6, 1, 2], ["モンスターB", "B", 28, 8, 2, 4, 8], ["モンスターC", "C", 24, 5, 5, 7, 6]] ### 行動の重み ### グループ,攻撃,防御,魔法 wegt_lst = [["A",4,1,0], ["B",2,1,1], ["C",1,1,4]] ### クラス定義 ### class Charpram: ### 初期化メソッド def __init__(self, name, grup, hitp, atck, dfns, magc, agil): ### パラメーター self.name = name # 名前 self.grup = grup # 行動グループ self.hitp = hitp # HP self.atck = atck # 攻撃力 self.dfns = dfns # 防御力 self.magc = magc # 魔力 self.agil = agil # 素早さ self.actn = None # 行動 self.stat = None # 状態 ### ダメージ計算メソッド def cal_damage(self): ### ローカル変数 f_damage = 0 ### 行動分岐 if self.actn == "攻撃": f_damage = round(self.atck * (1 + random.randrange(100) / 100)) elif self.actn == "防御": f_damage = 0 elif self.actn == "魔法": f_damage = round(self.magc * (1 + random.randrange(100) / 100)) return f_damage ### 素早さ補正メソッド def cal_agil(self): ### ローカル変数 f_agil = 0 ### 行動分岐 if self.actn == "攻撃": f_agil = self.agil * (1 + random.randrange(100) / 100) elif self.actn == "防御": f_agil = self.agil * 1.5 * (1 + random.randrange(100) / 100) elif self.actn == "魔法": f_agil = self.agil * 0.5 * (1 + random.randrange(100) / 100) return f_agil ### 戦闘関数定義 ### def battle(arg1, arg2): ### ローカル変数 f_damage = 0 ### 対象キャラのHPが0の場合は終了 if arg2.hitp == 0: ### メッセージ表示 if arg1.actn == "防御": print("++ {}は{}を実行!".format(arg1.name, arg1.actn)) else: print("++ {}の{}が失敗!".format(arg1.name, arg1.actn)) return ### 攻撃 if arg1.stat == "攻撃": ### 相手が防御 if arg2.stat == "防御": dfns = arg2.dfns * 2 else: dfns = arg2.dfns ### ダメージ計算 f_damage = max(0, arg1.cal_damage() - dfns) arg2.hitp -= f_damage arg2.hitp = max(0, arg2.hitp) ### 防御 elif arg1.stat == "防御": ### ダメージ0 f_damage = 0 ### 魔法 elif arg1.stat == "魔法": ### ダメージ計算 f_damage = max(0, arg1.cal_damage()) arg2.hitp -= f_damage arg2.hitp = max(0, arg2.hitp) ### メッセージ表示 if arg1.actn == "防御": print("++ {}は{}を実行!".format(arg1.name, arg1.actn)) else: print("++ {}は{}を実行! {}は{}のダメージ".format(arg1.name, arg1.actn, arg2.name, f_damage)) ### キャラクター削除関数定義 ### def obj_del(arg): ### リストの要素数分ループ for x in arg: ### 対象のHPが0の場合 if x.hitp == 0: ### 対象の要素を削除 arg.remove(x) ### メイン処理 ### ### プレイヤーインスタンス生成 play_obj = [] for x in play_lst: play_obj.append(Charpram(*x)) ### モンスターインスタンス生成 mons_obj = [] for x in mons_lst: mons_obj.append(Charpram(*x)) ### 戦闘が終了するまでループ while True: ### エラーフラグ err_flg = 0 ### プレイヤー行動辞書定義 p_act_dic = {} ### 行動入力 print(">>> 行動を選択してください") print(">>> a:攻撃 b:防御 c:魔法 q:終了") for x in play_obj: print("[" + x.name + "] ", end="") player = input(">>> ") ### 終了 if player == "q": sys.exit() ### 入力エラー elif player not in list(act_dic.keys()): print("++ a:攻撃 b:防御 c:魔法 q:終了 を入力してください") print() err_flg = 1 break ### 行動辞書に保存 p_act_dic[x.name] = act_dic[player] ### 入力エラーは最初からやり直す if err_flg == 1: continue ### 行動順辞書定義 order_dic = {} ### 行動順辞書にプレイヤーの行動を保存 for x in p_act_dic.items(): for p_obj in play_obj: if p_obj.name == x[0]: p_obj.actn = x[1] if p_obj.stat != "死亡": p_obj.stat = "待機" ### 素早さ補正 order_dic[p_obj.name] = p_obj.cal_agil() ### 行動順辞書にモンスターの行動を保存 for m_obj in mons_obj: if m_obj.grup == "A": act_grup = wegt_lst[0][1:] elif m_obj.grup == "B": act_grup = wegt_lst[1][1:] elif m_obj.grup == "C": act_grup = wegt_lst[2][1:] else: act_grup = [1,1,1] m_obj.actn = random.choices(list(act_dic.values()),weights=act_grup)[0] if m_obj.stat != "死亡": m_obj.stat = "待機" ### 素早さ補正 order_dic[m_obj.name] = m_obj.cal_agil() ### 行動 for character in sorted(order_dic.items(), key=lambda arg: arg[1], reverse=True): ### プレイヤー行動 for play in play_obj: if character[0] == play.name: ### 行動キャラクターのHPが0の場合はスキップ if play.hitp == 0: break ### 状態に行動を設定 play.stat = play.actn ### 戦う相手をランダムで選択 mons = random.choice(list(mons_obj)) ### 戦闘 battle(play, mons) ### HPが0ならメッセージ表示 if mons.hitp == 0 and mons.stat != "死亡": mons.stat = "死亡" print("<< {}を倒しました!!!!! >>".format(mons.name)) ### モンスター行動 for mons in mons_obj: if character[0] == mons.name: ### 行動キャラクターのHPが0の場合はスキップ if mons.hitp == 0: break ### 状態に行動を設定 mons.stat = mons.actn ### 戦う相手をランダムで選択 play = random.choice(list(play_obj)) ### 戦闘 battle(mons, play) ### HPが0ならメッセージ表示 if play.hitp == 0 and play.stat != "死亡": play.stat = "死亡" print("<< {}は倒されました... >>".format(play.name)) ### プレイヤー辞書から削除 for i in range(len(play_obj)): obj_del(play_obj) ### モンスター辞書から削除 for i in range(len(mons_obj)): obj_del(mons_obj) ### プレイヤーのHPを表示 if len(play_obj) > 0: print("-----------------") for x in play_obj: print("++ {}:HP[{}]".format(x.name, x.hitp)) print("-----------------") ### どちらかが全滅であれば終了 if len(play_obj) == 0: print() print("+++++++++++++++++") print("++ プレイヤーは全滅しました ++") print("+++++++++++++++++") break if len(mons_obj) == 0: print() print("+++++++++++++++++") print("++ モンスターは全滅しました ++") print("+++++++++++++++++") break ### 空行 print() |
スクリプト解説
今回はスクリプトが長くなったので、前回と同じ部分は割愛します。
前回の解説と合わせて参照してください。
10~15行目
プレイヤー側とモンスター側のキャラクターのパラメーターをリストで定義します。
19~21行目
キャラクターの行動の重みを定義します。
79~87行目
引数で渡された相手キャラクターがすでに倒されていた場合の処理です。
防御を選んだ場合と攻撃対象がすでに倒されていた場合は、メッセージを表示して関数を終了します。
124~133行目
キャラクターが倒された場合は、そのキャラクターのインスタンスをリストから削除します。
リストの要素を削除するとリストの順番がずれてしまい、複数の要素を削除しようとすると想定と違った動きになります。
そのため、リストの要素を削除する関数を作り、元の要素数分この関数を呼び出します。
138~145行目
プレイヤーとモンスターのキャラクター数分、それぞれのリストにインスタンスを作ります。
154行目
ユーザーが選択したプレイヤーの行動を保存するための辞書を定義します。
175行目
ユーザーが選択したプレイヤーの行動を辞書に設定します。
178、179行目
入力エラーがあった場合は、while文の先頭に戻り、最初から入力をやり直すようにします。
182行目
行動順辞書を定義します。
ここには、戦闘に参加するキャラクターがすべて設定されます。
185~193行目
プレイヤー側の行動を行動順辞書に設定します。
196~211行目
モンスター側の行動を行動順辞書に設定します。
197~204行目
モンスターの行動パターンによって、行動の重みを設定します。
何も設定されていなければ、同じ割合で行動が選択されます。
206行目
モンスターの行動を設定した重みの割合に合わせてランダムに設定します。
222、245行目
先に行動したキャラクターによって、順番がきたキャラクターがすでに倒されていた場合は行動をスキップします。
229、252行目
攻撃するキャラクターをランダムに選択します。
263~268行目
倒されたキャラクターのインスタンスをリストから削除します。
271~275行目
プレイヤー側のリストから残っているキャラクターの名前とHPを表示します。
プレイヤー側が全滅している場合は表示しません。
278~290行目
どちらかのリストから生成したインスタンスがすべて削除されていた場合は、メッセージを表示してwhile文を終了します。